カリウム除去技術と洗浄水対策

カリウム除去と洗浄水について

①新規燃料について

2023年度にはエネ庁はEFBペレットはじめいくつかの新規燃料を認証する方向にあります。特に石炭混焼が可能となるペレット系の燃料と言えばこれまでは北米産木質ペレットまたはベトナム産木質ペレットのみでしたが、新規燃料ではEFB、ソルガム等々によるペレット系の新規燃料の登場に期待が膨らんでいます。それ以外でも油を搾ったあとのジャトロファの具体的な燃料化の検討がされています。

ソルガム、ジャトロファについてはFIT認証としての確認が取れていませんが、いずれ確認が認められた際には晴れてバイオマスFIT認証燃料として流通される事が予想されます。

②カリウムを含んだバイオマス

  上述のように、2023年度からいくつかのバイオマスが新規燃料の候補にあがっていますが、その中にはEFBをはじめカリウム成分を多く含んだバイオマス燃料が含まれています。 EFB繊維、ソルガム繊維、ジャトロファなどもカリウムを多く含みそのまま使う事ができません。 また、既存燃料としてすでに認証をうけているOPTもパームヤシ樹木の先端に向かうほどカリウム成分がおおくなり、そのままつかうことはリスクがあると推察します。

③カリウムを含んだバイオマスの課題

   カリウムを多く含んだバイオマスの課題は二つです。
1.バイオマス繊維内からのカリウムの除去
  繊維内から様々な方法で「カリウムを除去」することが必要です。

2.洗浄に使用した排水対策
  繊維の洗浄に大量の水を使った場合はその排水対策が必要です。

④カリウム除去について

   バイオマス繊維内からのカリウムの除去方法については、各社、それぞれ対策を検討され、ネットにも公開されているケースが多くあります。
   基本的に繊維内にはカリウムはカリウムイオンとして「溶けて」いるので、水を媒体として洗浄除去する方法が一般的です。
   カリウム除去自体にも二つの課題があります。
   一つ目の課題は、如何に効率よくカリウムを除去するかということです。
例えば洗浄漕の中で何時間もずっと洗浄しつづけたらエネルギー消費、水消費の面からコストに合いません。
如何に、効率よくカリウムを除去するか?ということが重要です。 
また、見落とされがちなこととして、「実験室の小規模の装置」ではカリウム除去が成功したとして、それが大規模な量産レベルでも「効率的に」実現できるかということが重要です。

二つ目の課題は、如何に安定的にカリウムを除去するかということです。
小規模な実験室でカリウムを除去できても、量産レベルの大規模な装置で、安定的にカリウムが除去できるか?ということは大変重要です。 当方のパイロットラインの経験でも、バイオマス繊維からのカリウム洗浄はそのバイオマス繊維のロットや条件により、実際に「カリウム除去結果」にばらつきが発生し、それを解決することが大きな課題でした。

⑤カリウム洗浄の排水問題

  上述の様にバイオマス繊維中のカリウム除去は「水を使った洗浄方式」が一般的です。
  カリウムを繊維中から除去する方法や効率的な対応としては、高温高圧方式、プレス方式、温水洗浄方式などさまざまな方法が研究されていますが、繊維とカリウムを洗浄し分離する媒体は大量の「水」が使われます。
マレーシアの場合、そのような洗浄水を自然の河川に排水することは許されません。
   EFBペレット工場の場合、搾油所内に建設し、POMEへの排水をさせてもらうイメージを持ちやすいのですが、搾油所のオーナーが簡単に排水を何年間も際限なく排水することを認めてくれることは難しいと思われます。
   EFB繊維の場合、カリウム洗浄のためには数倍の水(重量ベース)を必要としますが、仮に2倍とした場合でも、年間1万トンのEFBペレットを製造する場合、深さ3メートル、縦横140メートル規模の排水が年間で発生します。 年間5万トンのEFBペレットの場合は、深さ3メートル、縦横それぞれ310メートルの排水は発生します。

   当社のEFBペレットの製造は、この水処理問題をいち早く最重要課題ととらえ、水処理研究に長年取り組んで参りました。 その結果、自然に優しい排水処理技術を開発しました。 今後、日本市場向けには自然に優しいEFBペレットの製造、供給を行って参ります。

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