EFB 石炭混焼の大きな可能性

火力発電に使われる一般炭CIF価格は2020年11月に7490円/MTであったものが、2022年2月には22400円/MTとなり、その後2022年9月には53000円/MTの値をつけた。石炭価格の値上がりにともない、従来FIT補助をうけて石炭火力発電の混焼に木質ペレットなどが使われていたが、EFBペレットがたとえFIT補助が無くても混焼用バイオマス燃料として採算が合うようになってきたと推察できる。 EFBはカリウム等の塩基成分を多く含みボイラーには不向きであったが、当社のカリウム洗浄EFBペレット(カリウム成分1500ppm)、熱量4200kcalであれば十分に活用が可能となり、際限なく値上がりを続ける木質ペレットの代替として十分に活用ができる。
当社にもすでに需要家様から石炭混焼燃料材としての問合せを数多くいただいており、石炭価格の値上がりを受け、お問い合わせ件数がさらに増加傾向にある。

木質ペレットの石炭混焼への利用について

2030年エネルギー基本方針をふまえ日本のエネルギー政策の最も深刻な課題は、石炭発電の削減と石炭発電の効率化である。
効率化の対策としてバイオマス混焼による排出Co2量の割引きという特例措置がとられた。政府としてもギリギリの苦しい政策決定であったと推察される。石炭発電の効率化のために木質ペレットの混焼が採用されることが多いが、「石炭発電の効率化のための木質ペレットの燃焼」にはいくつかの課題がある。


木質ペレットが抱える課題、1つは予測できない価格の上昇、もう一つは安定的な供給も課題があり、それに加え、森林から切った材木を燃やしCo2削減と言えるのか?という基本的な疑問が欧州を中心にふつふつと湧き上がる可能性がある。 森林は空気中のCo2を固定してくれていたが、それを伐採し、石炭発電のCo2削減につかうことに対し基本的な抵抗感、疑問が欧州で湧き上がってくる可能性がある。 その点EFBは農産物残滓であり、従来はそのまま野積みで廃棄され、メタンガス、Co2を大気中に排出していた。このEFBを、EFB自身を燃焼させた熱で乾燥させペレットにしたものを日本に輸入し石炭混焼の材に使うため、EFBそのものから排出されるCO2量はバランスが取れていることとなる。今後10年20年の長いスパンで見ると、経済性のソロバン勘定以上に、大気中のCo2量と植物に固定されているCo2量の管理がバイオマス燃料政策の主軸になると推定される。 もっと簡単に考えると、石炭とは元々木材のことであり、石炭から排出するCo2を削減するために木材(ペレット)を燃やすことは大変分かりにくい計算であろう。我々が活用すべきは、人間生活の中で生まれた農産物残滓の有効活用の視点から、EFBの有効活用が深く理解されるべきと思われる。



バイマス市場背景の見通し

FIT制度に支えられ、将来にむけてバイオマス発電の規模は拡大。
平成27年4月エネルギー庁の総合資源エネルギー調査会 長期エネルギー需給見通し小委員会(第8回会合)によれば、バイオマス既導入量は合計252万kwであり、2030年には602~728万kwまで拡大の見通し。その内、木質ペレットやPKSが属する一般木材・農産物残さのカテゴリーは、既存導入量は10万kwが2030年には274万kw~400万kwにまで拡大しバイオマス発電導入量全体の45%~55%を占める。
この一般木材・農産物残さカテゴリーの主力バイオマス燃料である木質ペレット、PKSの動向をみると、輸入量は2014年木質ペレット約10万トンが2018年には約105万トンと95万トン拡大。 一方PKSは2014年約20万トンが2018年には約125万トンと105万トンの拡大を見せた。
仮に、2030年の一般木材・農産物残さの発電導入量最大値である400万kwをすべてPKSに 換算した場合、約2000万トン必要となる計算である。

2030年におけるバイオマス発電量の導入見込み量

既導入量(第4回資料) 導入見通し(第4回資料) 導入見通し(今回)
未利用間伐材等 3万kW 24万kW 24万kW
建設資材廃棄物 33万kW 37万kW 37万kW
一般木材
農作物残さ
10万kW 80万kW 274万kW~400万kW
バイオガス 2万kW 16万kW 16万kW
一般廃棄物等 78万kW 124万kW 124万kW
RPS 127万kW 127万kW 127万kW
合計 252万kW(177億kWh) 408万kW(286億kWh) 602万kW~728万kW(394億kWh~490億kWh)

バイマス発電の拡大に伴い、主要燃料であるPKSや木質ペレットの輸入は年々拡大を続けている。
しかし、PKSについては2018年はそれまでの輸入の伸びが急に鈍化した。とくにマレーシア産のPKSは2016年以降、頭打ちの傾向にある。一方、インドネシア産のPKSは拡大を続けている。PKSにとっての最大の脅威は2019年末にエネ庁から示される予定の、副産物に対する持続可能性の基準とその対応についてであろう。中でも、環境、社会、労働の観点から全てのパーム農園、すべてのパームミルを確認し、基準を満たしていることに対する自己宣言またはその担保についてはまだまだ現実的な手法において難しい課題があると推察される。

PKS輸入の推移

PKS輸入の推移グラフ

バイマス市場の見通し

一方、木質ペレットは2018年度は急激な拡大を示した。
カナダ産のペレット輸入は2017年比27万トンの伸びを示したが、ここに来てベトナム産ペレットも24万トン増となり、カナダ産ペレットに急追している。
ベトナムでは、北部、中部において日本資本による複数のペレット工場の建設が検討、または建設が進んでいる。
北米産ペレットの値上がり予想や、世界的なバイオマス需要をふまえベトナムでのペレット生産と日本向け出荷はまだまだ拡大すると予想される。
しかし、ベトナム産ペレットも2016年以降値上がりをつづけ、サプライヤーも北米産ペレット価格をベンチマークとしていることから、今後、ベトナム産ペレットの値上がり予想される。
当社が推進するEFBペレットについては、木質ペレットに見られるこのようなマーケットの特性とは一線を画すものになると思われる。EFBはPKSのように副産物ではあるが、すぐ燃やせて燃料となるPKSとは異なり、カリウム除去技術の開発とその量産化を達成できた企業のみが供給者となれるビジネスモデルであり、それにより、市場に左右されない 「安定価格、安定供給」が実現できるものである。原料となるEFB自体は「供給源エリア内の契約ミル」から潤沢かつ非常に安定した供給を受けることが物理的にも経済的にも可能である。
将来の大きな可能性としても、下記が考えられる。
1、これまでマレーシア、インドネシアで有効活用されず廃棄されて来たEFBを日本で燃料に有効活用することで、日本とインドネシア・マレーシア間のカーボン取引への貢献ができる。
2、このEFBのペレット技術をマレーシア、インドネシアの他社へ展開することで、両国においてEFBを燃料化する新しい産業が生まれパームオイル産業および両国の経済発展に貢献ができる。

WOOD PELLET輸入の推移

WOOD PELLET輸入の推移グラフ
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