最終更新日: 2012年05月10日
バイオディーゼル燃料(BDF)導入のポイント、失敗しない製造プラントの選び方、精製のポイント、BDF導入事例など情報満載
バイオディーゼル燃料とは、植物油(日本では使用済み天ぷら油)を原料とし、メタノールと反応させてメチルエステル化等の化学処理をして製造されたディーゼルエンジン用の液体燃料(軽油代替燃料)です。
副産物としてグリセリンが発生します。
ディーゼルエンジンは19世紀末に発明され、もともとピーナッツ油等の植物油を燃料としていました。その後、石油の発見により安価な軽油を燃料とするエンジンとして普及してきました。1970年代のオイルショックを契機に、欧州でバイオディーゼル燃料の検討が進められ、ディーゼルエンジンの進化に合わせて、メチルエステル化により植物油の粘度を下げ、軽油に近い性状としたものがバイオディーゼル燃料として利用されるようになりました。
品確法で軽油に5%(B5と表記)混合することが可能です。(経済産業省平成19年3月31施行)または100%(B100と表記)で軽油代替燃料として利用できます。B100使用であれば、軽油引取税(32.1円)は課税対象外となります。英語で『BIO DIESEL FUEL(バイオ・ディーゼル・フューエル)=BDF』
平成20年5月に一部改正された「揮発油等の品質の確保等に関する法律」ではバイオディーゼル燃料(BDF)の品質規格を26項目定めています。今後のバイオディーゼル燃料製造者は、この規格に合ったバイオディーゼル燃料の製造が不可避で、燃料品質を高めることが重要な課題となっています。
※高濃度(B100)バイオディーゼル燃料(BDF)で45%がトラブル(国土交通省発表)
バイオディーゼル燃料の原料は主に植物油が用いられます。EUでは主に菜種油・ひまわり、米国では主に大豆油、東南アジアでは主にパーム油原料にしていますが、日本では食料との競合を避けるとともに廃棄物の有効利用(リサイクル)の観点から、廃食用油が用いられています。
廃食油は粘度が高く、また引火点も高いなどの特性があるので、そのまま軽油代替燃料として使用するには問題があります。そのため、廃食油を自動車の燃料として使用するには、何らかの方法で廃食油を軽油に近い性状にする必要があります。一つの代表的な方法として、アルカリを触媒としてメタノールと化学反応させることにより、廃食油を脂肪酸メチルエステル(バイオディーゼル燃料)にする方法があります。
| 製造方法 | 概 要 | 長 所 | 課題・注意点 |
|---|---|---|---|
| アルカリ触媒法 | 水酸化カリウムや水酸化ナトリウム等のアルカリ触媒下でメタノールと廃食油のグリセリンをエステル交換します | 世界的に実績のある安定した技術 | アルカリ廃液が出るので排水処理設備の導入が必須です |
| 酸触媒法 | 硫酸やフッ酸等の酸触媒により、遊離脂肪酸をメチルエステル化します | 遊離脂肪酸の多い廃食油の前処理としても活用できます | 製造工程が増えます |
| 超臨界 メタノール法 |
油脂と、320℃以上・20MPa以上の超臨界メタノールを混合しエステル交換を行います | 触媒が不要、反応時間が短い(4分程度)、給排水設備が不要、高融点油脂も処理可能 | 小規模施設ではコスト高 |
| 生物系触媒法 | 樹脂に固定した酵素(リパーゼ)によりエステル交換を行います | 廃液が出ない、グリセリンの純度が高い | 反応時間が遅い、酵素が高コスト |
| 固体触媒法 | 固体塩基触媒(酸化カルシウム、チタン酸バリウム、イオン交換樹脂等)によりエステル交換を行います | 触媒回収が容易、グリセリン純度が高い | 触媒の耐久性、触媒が高コストなど、課題がある場合もあります |
※一般的に廃グリセリンは廃棄物として処理する他、たい肥化施設で発酵促進剤としての利用、ボイラーで助燃剤としての利用などがあります。
※アルカリ廃液はBOD(汚れの尺度)がBOD 80,000~130,000mg/Lと非常に大きいので、絶対に排水に流したり河川に放流したりしてはいけません。
排水処理設備の導入が必要です。
BOD:魚が棲めるのは5mg以下
廃食油の回収量(予定)に合ったバイオディーゼル生産能力を検討して導入することになります。
バイオディーゼル燃料(BDF)の導入に関しては、国・地方公共団体・金融機関などによる、様々な助成制度や優遇制度があります。これら以外にも各地域で様々な支援制度がありますので、地方公共団体については、各地方公共団体にお問い合わせ下さい。助成制度・優遇制度の利用にあたっては、適用外の設備もあるため、詳しい条件の確認が必要です。また終了の可能性もありますのでその都度関係省庁に相談・確認して下さい。
バイオディーゼル燃料製造事業者に関連し、以下のような法令があります。
| 危険物 | 種別 | 品名 | 性質 | 指定数量 |
|---|---|---|---|---|
| バイオディーゼル燃料 | 第4類 | 第3石油類 | 非水溶性液体 | 2,000L |
| メタノール | 第4類 | アルコール類 | - | 400L |
| グリセリン | 第4類 | 第3石油類 | 水溶性液体 | 4,000L |
| 廃食用油 | 第4類 | 植物油類 | 非水溶性液体 | 10,000L |
危険物は、それぞれの指定数量によって取扱が異なるので、貯蔵・保管には注意が必要です。指定数量の1/5未満の危険物を取り扱う場合、市町村の火災予防条例の規制を受けますが、届出は必要ありません。例えばバイオディーゼル燃料を400L未満(指定数量の1/5未満)で貯蔵することに届出義務はありません。指定数量の1/5以上・指定数量未満の危険物を取り扱う場合、少量危険物として市町村の火災予防条例の規制を受け、市町村への届出が必要になります。 例えばバイオディーゼル燃料を500Lのタンク一杯で貯蔵すると規制の対象となります。指定数量以上の危険物を取り扱う場合、危険物の貯蔵・保管に関しては許可を受けた危険物施設(製造所、貯蔵所、取扱所)で行わなければなりません。ただし、2つ以上の危険物については、各危険物の保有量をその指定数量で除した数値の総和が1以上になるか否かで判断します。 また、危険物の取り扱いは、危険物取扱者または危険物取扱者の立ち会いのもとでそれ以外の者が行わなければなりません。
その他に、BDFの製造工程にろ過工程などが含まれている場合、水質汚濁防止法の特定施設に該当します。当該施設からの排水を下水道に排出する場合は、下水道法の手続きが必要となる場合があります。
他の事業者が排出した廃棄物(排出事業者から処理費をとった廃食油)を受け入れてバイオディーゼル燃料の製造を行う場合、廃棄物処理業(処分業)の許可が必要です。また、バイオディーゼル燃料F製造の副産物(グリセリン等)が不要になった場合、その副産物は廃棄物に該当するので、廃棄物処理業者に委託するなど適正に処理しなければなりません。
なお、BDF製造施設の建屋の床は、廃食油やBDF等を誤ってこぼしたときに直接土壌にしみ込まないよう、不浸透性のコンクリート敷きにするなどの対策が必要です。
また、廃食油やBDFは独特の臭いがあるので、近隣の迷惑にならないよう十分に気を付ける必要があります。このため、事前に支庁や関係市町村に相談してください。